2011年にリリースされた5thアルバム『残響リファレンス』の9曲目に収録されている「Pierce(ピアス)」。
タイトルの通り、心に深く突き刺さったまま抜けない棘のような、痛みを伴う愛を描いた珠玉のバラードです。
更新日:2026年1月24日
この記事を読めばわかること
- 「Pierce」という言葉に込められた、消えない傷と愛のメタファー
- 終わりが見えている関係の中で、それでも「今」を願う切ない心理状態
- 英語と日本語が織りなす、言葉にできない想いの解像度
- 「忘れることができたら」という仮定の裏に隠された、絶対的な愛
結論:この曲は、結末を知りながらも愛することを止められない、美しくも残酷な未完の恋の記録である
歌詞の随所に、二人の関係が長くは続かないこと(we can’t be true)や、結末がすでに見えていること(see how it’s going to end)を示唆する表現が登場します。
しかし、理性では「君の心に居てはいけない」と分かっていても、感情がそれを許しません。
「君を忘れることなんて僕にはできるはずもなくて」というフレーズは、単なる未練を超えた、自分自身の一部となってしまった愛への諦念と覚悟を感じさせます。
夜が永遠に続けばいいと願う切実な祈りと、真実を告げることで関係が壊れることへの恐怖。その狭間で震える繊細な感情が、ピアノの旋律と共に深く心に響く一曲です。
ONE OK ROCK - Pierce (Live in Yokohama Arena) - English subs
知っておきたい楽曲プロフィール
静謐なピアノの導入から始まり、次第に熱を帯びていくTakaのボーカルが、感情の昂ぶりを見事に表現しています。
ファンの間では「泣ける曲」として絶大な人気を誇り、ライブでも特別な空気を醸成する名バラードです。
- 曲名:Pierce(ピアス)
- アーティスト:ONE OK ROCK / ワンオクロック
- リリース日:2011年10月5日
- 収録アルバム:残響リファレンス
- 音楽ジャンル:エモーショナル・ロック、ピアノ・バラード
心に深く突き刺さる想い:Pierce(ピアス)歌詞和訳
この和訳では、二人の関係に横たわる「戻れない境界線」と、頭では分かっていても心が君を求めてしまう「拭えない未練」の対比を、より切実で湿度のある言葉を選んで表現しました。
[Verse 1]
Here with you now I’m good, still miss you
今こうして君のそばにいられるだけで十分だけど、それでも君を恋しく思ってしまうんだ
I don’t know what I can do, we can’t be true
自分に何ができるのか分からない、僕らが結ばれることはないのだから
満たされる事なく二人の距離
縮まっていく度切ない・・・
[Pre-Chorus]
溢れ出した想いつまるだけで
Uh it’s hard for me to say
ああ、言葉にするのがこんなにも苦しい
[Chorus]
‘Cuz we can see how it’s going to end
だって、僕らにはこの恋の終わり方が見えているから
But I got my love for you
それでも、君への愛はここにあるんだ
もしもこのまま君を忘れる事ができたら
なんて思えば思うほどに
君を忘れることなんて僕にはできるはずもなくて
We always wish tonight could last forever
僕らはいつだって、この夜が永遠に続けばいいと願ってしまう
I can be your side
君のそばにいさせてほしい
[Verse 2]
I shouldn’t be in your heart
君の心の中に、僕はいるべきじゃないんだ
Either the time we have spent
共に過ごした時間も、本当はない方がよかったのかもしれない
And I want you to know what the truth is
真実が何なのかを君に知ってほしいけれど
But sometimes it makes me feel so sick, oh no
時々、その重みに耐えきれず吐き気がするほど苦しくなるんだ
I just can’t say to you, No I won’t
ただ君に言えないだけなんだ。いや、言ったりしないよ
[Chorus]
‘Cuz we can see how it’s going to end
だって、この先どうなるか分かってしまっているから
But I got my love for you
それでも、僕は君を愛してしまったんだ
もしもこのまま君を忘れてしまったら
二度と愛す事もないかな?
僕は本当にそれで心から幸せと言えるかな?
Yes, we always wish tonight could last forever
そうさ、僕らはいつだってこの夜が永遠に続くことを願っている
I can be your side
君の隣にいさせてほしいんだ
「縮まるほど切ない」距離の正体
この曲の白眉は、物理的な距離と心の距離の反比例を描いた部分にあります。
「縮まっていく度切ない」というフレーズは、近づけば近づくほど、終わりが近いことや、決して一つになれないという現実を突きつけられる苦しみを表現しています。
ピアスが開けられた瞬間の痛みとその後に残る消えない穴のように、愛が深まるほどに心の傷もまた深く刻まれていく様子が伝わります。
「真実」を言わないという最大の愛
後半の「I want you to know what the truth is / But... No I won’t」という葛藤。
本当のことを伝えて楽になりたい自分と、それを伝えることで「今」という儚い平穏を壊したくない自分。
結局「言わない」ことを選ぶ主人公の決断は、たとえ自分が「feel so sick(ひどく苦しい)」な状態になっても、君との時間を守りたいという自己犠牲的な愛の形と言えるでしょう。
「未練」の中の真実:キーワード解説
- Pierce:突き刺す。心に消えない穴を開けるような、痛みを伴う記憶や愛の象徴。
- Still miss you:そばにいるのに「恋しい」。手に入らない虚しさを表す。
- Can't be true:真実になれない。不倫や許されない恋、あるいは運命的な別れを示唆。
- Tonight could last forever:夜の永遠。現実(昼)が来れば壊れてしまう関係からの逃避。
- I shouldn't be in your heart:存在の否定。相手の幸せを願うがゆえの自責の念。
- Feel so sick:吐き気がするほどの苦しみ。精神的な葛藤が肉体的な拒絶にまで達している様子。
- 心から幸せと言えるかな?:忘却への恐怖。痛みがあっても愛していたいという逆説的な願い。
- 二度と愛す事もないかな?:相手への想いの深さを、一生分の愛と引き換えにするほどの覚悟。
歌詞を読み解くエッセンス:英単語解説
- Still:依然として、いまだに。物理的な距離に関わらず心が動いている状態。
- Hard for me to say:言うのが難しい。言葉にならない感情の飽和状態。
- How it's going to end:どのように終わるか。未来への諦念と、必然的な結末。
- But I got my love:逆接のBut。理性(終わり)に抗う感情(愛)の強調。
- I can be your side:そばに「いられる(可能・許可)」。控えめながら強い依存。
- Either:〜もまた(否定文で)。過ごした時間さえも否定しようとする苦悩。
- Truth:真実。隠し事や、二人の関係の根底にある残酷な事実。
- Won't:強い拒絶の意志。絶対に言わないという、自分自身への誓い。
意志を研ぎ澄ます表現:英文法解説
- I don’t know what I can do:間接疑問文。無力感の中で彷徨う心の動き。
- It’s hard for me to say:形式主語Itと不定詞。自分の感情を言語化できないもどかしさ。
- How it’s going to end:未来進行のニュアンス。避けることのできない破滅へのカウントダウン。
- Wish tonight could last forever:仮定法過去。現実にはあり得ない「永遠」を渇望する嘆き。
- I shouldn't be:義務・当然の否定。道徳的、あるいは論理的な自己否定。
- What the truth is:名詞節。ぼんやりとした不安ではなく、明確な「真実」への言及。
- Makes me feel so sick:使役動詞make。自分の意志とは関係なく、状況が自分を苦しめるという受動的苦痛。
- Thinking about it more...:分詞構文的な意味合い。考えれば考えるほど深みにはまるループ。
アルバム『残響リファレンス』における「Pierce」の役割
「Re:make」や「NO SCARED」といった攻撃的な楽曲が並ぶ中で、この曲はアルバムに深い情緒と余韻を与えています。
ONE OK ROCKがただ激しいだけのバンドではなく、人間の心の最も柔らかく、傷つきやすい部分を繊細に歌い上げることができる証明となった一曲です。
よくある質問:ONE OK ROCK『Pierce』について
Q:タイトルの「Pierce」にはどんな意味が込められていますか?
A:体に穴を開けて装着する「ピアス」のように、痛みと共に体の一部となり、外しても跡が消えないような深い愛の傷跡を象徴しています。
Q:歌詞の「真実(truth)」とは何を指しているのでしょうか?
A:具体的には語られませんが、二人が別れなければならない決定的な理由や、これ以上踏み込んではいけない境界線を指していると考えられます。
Q:ライブ演奏時の特徴はありますか?
A:Takaがピアノを弾き語りしたり、ピアノ伴奏のみで歌い上げたりすることが多く、会場全体が静まり返るほどの圧倒的な没入感を生み出す曲です。
まとめ:『Pierce』が教える「痛みを愛する」ということ
- 結末を受け入れる勇気:終わりが分かっていても、今この瞬間を愛することを恐れない。
- 忘れないという誇り:忘れようと努力するよりも、その痛みを抱えたまま生きていく強さ。
- 沈黙の愛:真実を告げて相手を傷つけるくらいなら、自分が苦しみを引き受けて沈黙を守る。
「Pierce」の穴が塞がらないように、一度誰かを深く愛した記憶は、一生消えることはありません。
その傷を「不幸」と呼ぶか、それとも「愛した証」として誇るか。この曲は、夜の静寂の中で私たちにそう問いかけているようです。
あわせて聴きたい!切ないバラードの名曲
- 【終わった恋の叙事詩】 The Beginning / ONE OK ROCK:どんなにボロボロになっても、君を想い続ける不屈の愛。
- 【儚い約束と永遠】 Wherever you are / ONE OK ROCK:究極の愛の誓い。Pierceと対比して聴くことで、愛の光と影を感じられます。
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